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Red Hat Enterprise Linux 5

5.9 リリースノート

Red Hat Enterprise Linux 5.9 リリースノート

エディッション 9

法律上の通知

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概要

Red Hat Enterprise Linux のマイナーリリースとは、 各機能拡張、 セキュリティおよびバグ修正のためのエラータなどを収集したものになります。 Red Hat Enterprise Linux 5.9 リリースノートには Red Hat Enterprise Linux 5 オペレーティングシステムに対する主要な変更点および本マイナーリリースに付随するアプリケーションについて記載されています。 本マイナーリリースにおける変更すべての詳細については テクニカルノート をご覧ください。
前書き
1. ハードウェアサポート
2. カーネル
3. デバイスドライバー
3.1. ストレージドライバー
3.2. ネットワークドライバー
3.3. その他のドライバー
4. ファイルシステムおよびストレージの管理
5. サブスクリプションの管理
6. セキュリティと認証
7. コンパイラーとツール
8. クラスタリング
9. 仮想化
10. 更新全般
A. 改訂履歴

前書き

リリースノートでは、 Red Hat Enterprise Linux 5.9 に実装されている改善点や追加機能などについて高度なレベルで解説しています。 Red Hat Enterprise Linux for the 5.9 update に実装された変更点すべての詳細については テクニカルノート を参照してください。

第1章 ハードウェアサポート

ConnectX-3 デバイスの mstflint サポート
Mellanox ファームウェアの書き込みおよび診断ツールを提供する mstflint パッケージが、Mellanox ConnectX-3 デバイスへのサポートを提供するようになりました。

HP Smart Array コントローラーと MegaRAID への smartmontools サポート
SMART 対応のハードドライブを監視するツールを提供する smartmontools パッケージがアップグレードされ、HP Smart Array コントローラーへのサポートが追加されました。この更新により、MegaRAID のサポートも改善しました。

ipmitool delloem コマンドのアップグレード
ipmitool ユーティリティに delloem サブコマンドを追加する、Dell 固有の IPMI 機能が更新され、以下の拡張機能を含むようになりました。
  • ユーザーは新しい vFlash コマンドを使用して、拡張 SD カードについての情報を表示できます。
  • ユーザーは新しい setled コマンドを使用して、バックプレーン LED の状態を表示できます。
  • エラーの詳細度が向上されました。
  • 新しいハードウェアのサポートが追加されました。
  • ipmitool の man ページの ipmitool delloem コマンドに関するドキュメントが更新されました。

NetApp LUN 設定の更新
NetApp LUN 組み込み設定がデフォルトで tur パスチェッカーを使用するようになりました。また、以下のハードウェアテーブルパラメーターが更新されています。
  • flush_on_last_del が有効になています
  • dev_loss_tmo600 に設定されています
  • fast_io_fail_tmo5 に設定されています
  • pg_init_retries50 に設定されています

第2章 カーネル

システムコールのトレースポイント
システムコールイベント用に以下のトレースポイントが追加されました。
  • sys_enter
  • sys_exit

システムコールの enter と exit のトレースポイントは、 HAVE_SYSCALL_TRACEPOINTS 設定オプションが有効なアーキテクチャー上でのみサポートされます。

IPv6 UDP ハードウェアチェックサム
Red Hat Enterprise Linux 5.9 では、IPv6 で実行する UDP 用のハードウェアチェックサムのサポートが追加されました。

プロセスごとのリソース上限
prlimit64() のシステムコールが追加され、ユーザーは /proc/<PID>/limits ファイル (このファイルは書き込み可能になりました) を使って実行中のプロセスの上限を動的に変更することができます。

VLAN のサポートが pktgen に追加
VLAN のサポートが pktgen モジュールに追加されました。pktgen モジュールにより 802.1Q のタグが付けられたフレームの生成が可能になります。

/proc/<PID>/ へのアクセスの制限
hidepid= および gid= のマウントオプションが procfs に追加され、/proc/<PID>/ ディレクトリへのアクセスを制限できるようになりました。

DSCP フィールドの難号化 (mangle)
Red Hat Enterprise Linux 5.9 では、netfilter モジュールが DSCP フィールドの難号化をサポートするようになりました。

第3章 デバイスドライバー

3.1. ストレージドライバー

  • mptfusion ドライバーが 3.04.20 に更新され、デバイス ID SAS1068_820XELP が追加されました。
  • QLogic Fibre-Channel HBA の qla2xxx ドライバーがバージョン 8.04.00.05.05.09-k に更新されました。
  • qla4xxx ドライバーがバージョン 5.02.04.05.05.09-d0 に更新されました。
  • Emulex Fibre-Channel Host Bus Adapter の lpfc ドライバーがバージョン 8.2.0.128.3p に更新されました。
  • ServerEngines BladeEngine 2 Open iSCSI デバイスの be2iscsi ドライバーがバージョン 4.2.162.0r に更新されました。
  • Broadcom NetXtreme II iSCSI の bnx2i ドライバーがバージョン 2.7.2.2 に更新されました。
  • Brocade BFA FC SCSI ドライバー (bfa ドライバー) は テクノロジープレビュー の対象から外れます。 BFA ドライバーは Red Hat Enterprise Linux 5.9 で完全対応になります。 また、 Brocade bfa FC SCSI ドライバーはバージョン 3.0.23.0 に更新され、 特に以下のような機能強化が含まれています。
    • Fibre-Channel ホストからの Loop Initialization Protocol (LIP) 発行に対応
    • Extended Link Services (ELS) および Common Transport (CT) のファイバーチャネルパススルーコマンドに対応
    • IOCTL インターフェースの追加
  • bfa ファームウェアがバージョン 3.0.23.0 に更新されました。
  • mpt2sas ドライバーがバージョン 13.101.00.00 に更新され、NUMA I/O サポート、Fast Load サポート、お客様固有のブランディングのサポートが追加されました。
  • megaraid_sas ドライバーがバージョン 00.00.06.15-rh に更新され、Dell PowerEdge RAID Controller (PERC) 9、LSI MegaRAID SAS 9360/9380 12GB/s コントローラー、複数の MSI-X ベクトルおよび応答キューのサポートが追加されました。
  • Broadcom NetXtreme II BCM5706/5708/5709 シリーズ PCI/PCI-X Gigabit Ethernet Network Interface Card (NIC) および Broadcom NetXtreme II BCM57710/57711/57712/57800/57810/57840 シリーズ PCI-E 10 Gigabit Ethernet Network Interface Card 用の iscsiuio ドライバーがバージョン 0.7.4.3 に更新されました。 いくつかある拡張機能の中でも特に、このドライバーには VLAN およびルーティングのサポートが含まれます。

3.2. ネットワークドライバー

  • ib_qib デバイスドライバーのサポートが、Red Hat Enterprise Linux 5.9 に同梱されるカーネルに追加されました。ib_qib ドライバーは、QLogic の ib_ipath InfiniBand Host Channel Adapter (HCA) デバイスドライバーの更新バージョン(および代用) であり、SDR、DDR、QDR InfiniBand アダプターの最新 PCI Express QLE-series へのサポートを提供します。
  • Solarflare ドライバー (sfc) がバージョン 3.1 に更新されました。 これにより、 SFE4003 ボードおよび TXC43128 PHY のサポートが追加されています。
  • bnx2x ファームウェアがバージョン 7.2.51 に更新され、 Broadcom 57710/57711/57712 チップ向けのサポートが含まれています。
  • bnx2x ドライバーがバージョン 1.72.51-0+ に更新され、Broadcom 578xx ファミリチップへのサポート、iSCSI オフロードのサポート、追加の PHY (EEE を含む) へのサポート、OEM 固有の機能などが含まれるようになりました。 また、 この更新により複数のバグが解決されています。
  • bnx2 ドライバーがバージョン 2.2.1+ に更新されました。
  • cnic ドライバーとファームウェアが更新され、FCoE パリティエラー回復、統計サポート、FCoE 機能通知が追加されました。
  • Chelsio T3 ファミリーのネットワークデバイス用の cxgb3 ドライバーが最新のアップストリームバージョンに更新されました。
  • Chelsio Terminator4 10G Unified Wire Network Controller 用の cxgb4 ドライバーが最新のアップストリームバージョンに更新され、Chelsio T480-CR および T440-LP-CR アダプターへのサポートが追加されました。
  • cxgb4 ファームウェアがアップストリームバージョン 1.4.23.0 に更新されました。
  • iw_cxgb3 ドライバーが最新のアップストリームバージョンに更新されました。
  • iw_cxgb4 ドライバーが最新のアップストリームバージョンに更新されました。
  • cxgb4icxgb3ilibcxgbi のドライバーが更新されました。
  • netxen_nic ドライバーがバージョン 4.0.79 に更新され、Minidump サポートが含まれるようになりました。
  • Broadcom Tigon3 Ethernet デバイスの tg3 ドライバーがバージョン 3.123 に更新されました。
  • Intel 10 Gigabit PCI Express ネットワークデバイスの ixgbe ドライバーが最新のアップストリームバージョンに更新され、以下の拡張機能が追加されました。
    • Intel Ethernet 82599 10 Gigabit Ethernet Controller に対応
    • Intel Ethernet 82599 10 Gigabit Ethernet Controller をベースにしている Quad Port 10 Gigabit Ethernet アダプターに対応
    • テストを行っていず安全性に欠ける拡張 SFP+ (small form-factor pluggable) モジュールを許可するモジュールパラメーター (allow_unsupported_sfp) を追加
  • ixgbevf ドライバーが最新のアップストリームバージョンに更新され、最新のハードウェアサポート、拡張機能、バグ修正が含まれるようになりました。加えて、100MB リンク速度を認識するサポートも追加されました。
  • igbvf ドライバーがアップストリームバージョン 2.0.1-k-1 に更新されました。
  • Intel Gigabit Ethernet Adapter の igb ドライバーが最新のアップストリームバージョンに更新され、Intel Ethernet Network Connection I210 および Intel Ethernet Network Connection I211 へのサポートが追加されました。
  • Intel 82563/6/7、82571/2/3/4/7/8/9、および 82583 PCI-E ファミリーのコントローラー用の e1000e ドライバーが最新のアップストリームバージョンに更新され、Intel Ethernet Network Connection I217-LM へのサポートが含まれるようになりました。
  • bna ドライバーは テクノロジープレビュー の対象から外れます。 BNA ドライバーは Red Hat Enterprise Linux 5.9 で完全対応になります。 また、 BNA ドライバーおよびファームウェアはバージョン 3.0.23.0 に更新されました。
  • qlge ドライバーがバージョン 1.00.00.30 に更新されました。
  • HP NC-Series QLogic 10 Gigabit Server Adapter の qlcnic ドライバーがバージョン 5.0.29 に更新されました。
  • ServerEngines BladeEngine2 10Gbps ネットワークデバイスの be2net ドライバーがバージョン 4.2.116r に更新されました。
  • Cisco 10G Ethernet デバイスの enic ドライバーがバージョン 2.1.1.35+ に更新されました。

3.3. その他のドライバー

  • mlx4 ib および net ドライバーが最新のアップストリームバージョンに更新されました。また、EEH エラー回復のサポートが mlx4 ドライバーに追加されました。
  • mlx4_en ドライバーがバージョン 1.5.3 に更新されました。
  • mlx4_core ドライバーがバージョン 1.0-ofed1.5.4 に更新されました。
  • ALSA HDA オーディオドライバーが更新され、新しいチップセットと HDA オーディオコーディックに対するサポートが有効、改善されました。
  • IPMI ドライバーが最新のアップストリームバージョンに更新されました。

第4章 ファイルシステムおよびストレージの管理

dmraid の FIPS モードに対応
Red Hat Enterprise Linux 5.9 では、dmraid root デバイスでの FIPS モードの使用に対応できるようサポートが追加されました。dmraid デバイスは、 FIPS チェックサムのチェックより先にアクティベートされるようになります。

第5章 サブスクリプションの管理

RHN Classic から Subscription Asset Manager への移行
Red Hat Enterprise Linux 5.9 では、 ユーザーによる RHN Classic から Red Hat Subscription Asset Manager (SAM) への移行が可能になります。 SAM はクライアントのマシン上でサブスクリプション情報やソフトウェアの更新を処理するプロキシとして動作します。 移行手順の詳細については、 サブスクリプション管理ガイド (Subscription Management Guide) を参照してください。

外部サーバーに対しての登録を行う
Subscription Manager では、 システム登録中のリモートサーバー選択に対応できるようになります。 登録途中、 Subscription Manager のユーザーインターフェースに登録先のサーバーの URL やポート、 プレフィックスなどを選択できるオプションが加わります。 また、 コマンドラインを使って登録している場合には、 登録先のサーバーを --serverurl を使って指定することができます。 この機能に関する詳細は、 サブスクリプション管理ガイド (Subscription Management Guide) を参照してください。

Firstboot システム登録
Red Hat Enterprise Linux 5.9 では、 firstboot によるシステム登録の際、 Red Hat サブスクリプション管理への登録がデフォルトのオプションになります。

Subscription Manager の gpgcheck 動作
Subscription Manager では、 管理しているレポジトリで空の gpgkey を持つレポジトリはすべて gpgcheck を無効にするようになります。 再度、 このレポジトリを有効にする場合は、 GPG キーをアップロードして、 カスタムコンテンツの定義に正しい URL が追加されていることを確認してください。

サーバー側の削除
システムのプロファイルをカスタマーポータルから削除すると登録が解除されるようになります。 このため、 証明書ベースの RHN にはチェックインが行われなくなります。

優先サービスレベル
自動サブスクライブや復元論理などに影響がある優先 サービスレベル をマシンに関連付けする作業がユーザーによって行えるようになります。 サービスレベルについての詳細は、 サブスクリプション管理ガイド (Subscription Management Guide) を参照してください。

特定のマイナーリリースに対する更新の制限
ユーザーが特定のリリースを選択できるようになります (Red Hat Enterprise Linux 5.8 など)。 これによりマシンがその指定リリースにロックされることになります。 以前は、 後続のマイナーリリースの一部として新しいパッケージが利用可能になった場合、 パッケージの更新を制限する方法はありませんでした。

GUI におけるユーザビリティの変更
Subscription Manager のグラフィカルユーザーインターフェースがお客様のフィードバックを基に各種の変更で強化されています。

第6章 セキュリティと認証

pam_cracklib の追加のパスワードチェック
Red Hat Enterprise Linux 5.9 では、maxclassrepeat オプションおよび gecoscheck オプションへの対応がバックポートされ pam_cracklib モジュールに追加されました。 これらのオプションは、ユーザーが入力する新しいパスワードのプロパティをチェックしたり、パスワードが指定された制限を満たさない場合は拒否するために使用します。maxclassrepeat オプションは、同一の文字クラス (小文字、大文字、その他の文字) を連続して使用できる最大文字数を制限します。gecoscheck オプションは、 新しいパスワードを入力しているユーザーの /etc/passwd エントリ内の GECOS フィールドにある単語 (空白で区切られた文字列) が、 その入力しているパスワードに含まれているかどうかを確認します。 詳細については、pam_cracklib(8) の man ページを参照してください。

M2Crypto の IPv6 サポート
m2crypto パッケージが提供するライブラリにより、 プログラムは Python スクリプトから OpenSSL 関数を呼び出すことができます。 この m2crypto が IPv4 および IPv6 いずれとでも動作するよう HTTPS 実装を修正する更新が行われています。 また、M2Crypto.SSL.Connection オブジェクトに IPv6 ソケットを作成するよう指示できるようになりました。

sudoer エントリ検索時のマッチの正式な処理方法
sudo ユーティリティは、sudoers エントリを /etc/nsswitch.conf ファイルで参照して、ファイルまたは LDAP 内を検索します。以前は、sudoers エントリの 1 番目のデータベース内にマッチがあったとしても、検索動作は他のデータベース (ファイルも含め) でも引き続き続行しました。Red Hat Enterprise Linux 5.9 では、/etc/nsswitch.conf ファイルにオプションが追加され、ユーザーはデータベースを指定できるようになりました。これで、sudoers エントリのマッチが見つかるため、他のデータベースをクエリする必要がなくなり、大規模な環境での sudoers エントリ検索のパフォーマンスが向上します。この動作はデフォルトでは有効ではないため、選択したデータベースの後に [SUCCESS=return] の文字列を追加して設定する必要があります。この文字列の直前にくるデータベース内に一致がある場合は、他のデータベースはクエリされません。

第7章 コンパイラーとツール

SystemTap
SystemTap とは、 追跡調査を行うことができるツールで、 ユーザーはオペレーティングシステム (特にカーネル) のアクティビティを詳細に渡って調査、監視することができます。 netstatpstopiostat などのツールからの出力と似たような情報を提供します。 ただし、 収集した情報に対してより詳細なフィルタリングや分析が行えるよう設計されています。

Red Hat Enterprise Linux 5.9 の SystemTap はバージョン 1.8 に更新され、以下の拡張機能を提供するようになりました。
  • SystemTap ランタイム (staprun) では、-T タイムアウトオプションを使用するようになりました。これにより、ウェイクアップが減少するため、スクリプトから低スループット出力をポーリングできるようになりました。
  • kbuild $PATH 環境は、 SystemTap により呼び出された場合、健全性を保持する目的で削除されるようになりました。
  • printf の形式に %#c 制御パラメーターを使用して、編集記号をエスケープできるようになりました。
  • プリティプリントのビットフィールドに整数を使用できるようになりました。また、文字はエスケープされた形式で表示するようになりました。
  • SystemTap のコンパイルサーバーおよびクライアントは、IPv6 ネットワークをサポートするようになりました。
  • SystemTap モジュールはさらに小型化され、コンパイルが速くなりました。デフォルト設定では、モジュールの debuginfo は表示されなくなりました。
  • @var 構文は、uprobe および kprobe ハンドラー (プロセス、カーネル、モジュール) の DWARF 変数にアクセスするための代替の言語構文となりました。
  • SystemTap スクリプトトランスレーター/ドライバー (stap) は、以下のリソース上限のオプションを提供するようになりました。
    --rlimit-as=NUM
    --rlimit-cpu=NUM
    --rlimit-nproc=NUM
    --rlimit-stack=NUM
    --rlimit-fsize=NUM
    
  • SystemTap compile-server は複数の同時接続をサポートするようになりました。
  • 以下の tapset 機能は、1.8 リリースでは廃止予定になっています。また、 1.9 リリースで削除が予定されています。
    daddr_to_string()
    
  • SystemTap はローカルの変数を難号化して、tapset が含んでいる C ヘッダーとの競合を防ぐようになりました。
  • 埋め込み C 関数では、THIS->* 表記ではなく、 新たに定義されたマクロ STAP_ARG_* を使用するようにしてください。

第8章 クラスタリング

IBM iPDU フェンスデバイスに対応
Red Hat Enterprise Linux 5.9 には IBM iPDU フェンスデバイスのサポートが追加されます。 このフェンスデバイスのパラメータについては、 クラスター管理(Cluster Administration) ガイドを参照してください。

DLM ハッシュテーブルサイズの調整
DLM (Distributed Lock Manager) では、 /etc/sysconfig/cman ファイルを使った DLMハッシュテーブルサイズの調整が可能になります。 /etc/sysconfig/cman ファイルに設定できるパラメータは以下の通りです。
DLM_LKBTBL_SIZE=<size_of_table>
DLM_RSBTBL_SIZE=<size_of_table>
DLM_DIRTBL_SIZE=<size_of_table>

このファイルにより、 次のファイル内の値がそれぞれ変更されます。
/sys/kernel/config/dlm/cluster/lkbtbl_size
/sys/kernel/config/dlm/cluster/rsbtbl_size
/sys/kernel/config/dlm/cluster/dirtbl_size

第9章 仮想化

Microsoft Hyper-V のドライバーが同梱されゲストのインストールに対応
Microsoft Hyper-V 上の Red Hat Enterprise Linux 5.9 での Hyper-V の準仮想化デバイス対応、 また Red Hat Enterprise Linux ゲストインストールの統合などにより、 ユーザーは Red Hat Enterprise Linux 5.9 を Microsoft Hyper-V ハイパーバイザーの上でゲストとして稼働させることができるようになります。 次のような Hyper-V ドライバーおよびクロックソースが Red Hat Enterprise Linux 5.9 に同梱されるカーネルに追加されています。
  • ネットワークドライバー (hv_netvsc)
  • ストレージドライバー (hv_storvsc)
  • HID 準拠のマウスドライバー (hid_hyperv)
  • VMbus ドライバー (hv_vmbus)
  • util ドライバー (hv_util)
  • クロックソース (i386: hyperv_clocksource、 AMD64/Intel 64: HYPER-V タイマー)

また、 Red Hat Enterprise Linux 5.9 にはゲストの Hyper-V Key-Value Pair (KVP) デーモンも含まれています (hypervkvpd)。 このデーモンによりゲストの IP、 FQDN、 OS 名、 OS リリース番号、ホストから VMbus まで基本的な情報が渡されます。

第10章 更新全般

samba3x パッケージの更新
Red Hat Enterprise Linux 5.9 には、バグ修正と拡張機能が加わったリベースの samba3x パッケージが含まれています。このうち最も重要な点は SMB2 プロトコルへ追加されたサポートです。SMB2 のサポートを有効にするには、/etc/samba/smb.conf ファイルにある [global] セクション内の以下のパラメーターを使用します。
max protocol = SMB2

警告

samba3x パッケージの更新により、ID マッピングの設定方法も変更されます。ユーザーの方には、既存の Samba 設定ファイルの修正をお勧めします。詳細については、Release Notes for Samba 3.6.0 を参照してください。

OpenJDK 7
Red Hat Enterprise Linux 5.9 には、OpenJDK 6 に代わる OpenJDK 7 の完全なサポートが含まれています。java-1.7.0-openjdk パッケージにより、OpenJDK 7 Java Runtime Environment および OpenJDK 7 Java Software Development Kit が提供されます。OpenJDK 7 には、JVM で実行可能な動的型付け言語をサポートする拡張、 クラスローダー関連の強化、 Unicode 6.0 のサポート、 更新された I/O およびネットワーキング API などが含まれています。OpenJDK 7 は Red Hat Enterprise Linux 6 でも利用可能です。

Java 7 の新パッケージ
java-1.7.0-ibm および java-1.7.0-oracle パッケージが、Red Hat Enterprise Linux 5.9 で利用できるようになりました。

新しい libitm パッケージ
libitm には GNU Transactional Memory Library が含まれます。これは、プロセスメモリのアクセスに対するトランザクションサポートを提供して、複数スレッドによる共有メモリに対するアクセスの同期を有効にします。

Rsyslog のメジャーバージョン 5 への更新
Red Hat Enterprise Linux 5.9 には、rsyslog をメジャーバージョン 5 にアップグレードする新パッケージ rsyslog5 が含まれています。

重要

rsyslog5 パッケージは、Red Hat Enterprise Linux 5 で rsyslog のメジャーバージョン 3 を提供している既存の rsyslog パッケージの代替となります。 rsyslog5 パッケージをインストールするには、まず rsyslog パッケージを先にアンインストールする必要があります。

rsyslog をメジャーバージョン 5 にアップグレードすることで、各種の拡張機能が取り込まれ、 また複数のバグが修正されます。 最も重要な変更を以下に示します。
  • $HUPisRestart ディレクティブは削除されたため、現在はサポートされていません。そのため、Restart タイプの HUP 処理は利用できなくなりました。 現在 SIGHUP 信号を受信すると、 ログの回転に対応するための出力 (大半はログファイル) が再度開くだけです。
  • スプールファイル (例えば、ディスクアシストモードのキュー) の形式が変更になりました。新しい形式に切り替えるには、rsyslogd をシャットダウンするなどしてスプールファイルを消去します。Rsyslog のアップグレードを続行して、再度 rsyslogd を開始します。アップグレードが終わると、新しい形式が自動的に使用されます。
  • rsyslogd デーモンがデバッグモードで実行していた場合は (-d オプションを使用)、フォアグラウンドで行われていました。これは修正されて、デーモンはフォークされバックグラウンドで適切に実行するようになりました。-n オプションを使用することで、rsyslogd がバックグラウンドで自動起動しないようにできます。

このバージョンの Rsyslog に適用された変更の詳細については、http://www.rsyslog.com/doc/v5compatibility.html を参照してください。

改訂履歴

改訂履歴
改訂 1-0.2.4Tue Oct 23 2012Mizumoto Noriko [FAMILY Given]
additional update for bfa/bna tech-preview exit has been translated
改訂 1-0.2.3Mon Oct 22 2012Mizumoto Noriko [FAMILY Given]
翻訳完了
改訂 1-0.2.2Mon Oct 22 2012Mizumoto Noriko [FAMILY Given]
latest translation
改訂 1-0.2.1Wed Oct 10 2012Cheng Chester [FAMILY Given]
Translation files synchronised with XML sources 1-0.2
改訂 1-0.2Tue Dec 11 2012Prpič Martin [FAMILY Given]
Red Hat Enterprise Linux 5.9 リリースノート公開
改訂 1-0.1Mon Sep 24 2012Prpič Martin [FAMILY Given]
Translation files synchronised with XML sources 1-0
改訂 1-0Thu Sep 20 2012Prpič Martin [FAMILY Given]
Release of the Red Hat Enterprise Linux 5.9 Beta リリースノート公開