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機能強化、 セキュリティエラータやバグ修正によるエラータなどを集めたものが Red Hat Enterprise Linux のマイナーリリースになります。 Red Hat Enterprise Linux 6.4 リリースノート では、 このマイナーリリースの Red Hat Enterprise Linux 6 オペレーティングシステムと付随するアプリケーションに加えられた主要な変更についてを記載しています。 このマイナーリリースにおける変更点 (修正済みのバグ、 追加された機能強化、 発見された問題点など) に関する詳しい説明については テクニカルノート を参照してください。 また、 テクニカルノートには現在利用できるテクニカルプレビューとその機能を提供するパッケージの全一覧も記載されています。
重要
こちら でご覧になれるオンライン版の Red Hat Enterprise Linux 6.4 リリースノート が最終的な最新バージョンとなります。 このリリースに関してご質問をお持ちのお客様は、 ご使用の Red Hat Enterprise Linux バージョンのオンライン版 リリース および テクニカルノート をご覧いただくことをお勧めします。
Red Hat Enterprise Linux 6.4 のインストールにキックスタートを使用する場合、 新しい fcoe キックスタートオプションが指定できるようになります。 このオプションを指定すると、 Enhanced Disk Drive (EDD) のサービスで検出されたデバイスに加え Fibre Channel over Ethernet (FCoE) のデバイスも自動的に有効になります。 詳細については、 Red Hat Enterprise Linux 6 インストールガイド の キックスタートのオプション のセクションを参照してください。
VLAN 経由のインストール
Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、 vlanid= ブートオプションや --vlanid= キックスタートオプションを使用することで指定したネットワークデバイスに仮想 LAN ID (802.1q タグ) を設定できるようになります。 これらのオプションいずれかを指定することで、 システムのインストールを VLAN 経由で行なうことができるようになります。
ボンディングを設定する
bond ブートオプション、 --bondslaves と --bondopts のキックスタートオプションを使用すると、 インストールの一環としてボンディングの設定を行なうことができるようになります。 ボンディングを設定する方法については、 Red Hat Enterprise Linux 6 インストールガイド の キックスタートのオプション のセクションおよび ブートオプション の章を参照してください。
第2章 カーネル
ファイバーチャンネルプロトコル: End-To-End のデータ整合性チェック
Red Hat Enterprise Linux 6.4 におけるホストアダプタとストレージサーバー間のデータ整合性が改善されています。 End-To-End (E2E) のデータ整合性チェックに強化された T10 DIF SCSI 標準の zFCP 固有の部分を実装しました。
IBM System z 向け Flash Express に対応
IBM System z の Storage-Class Memory (SCM) はストレージとメモリーの両方のプロパティを結合させたデータストレージデバイスの 1 クラスになります。 System z の SCM が Flash Express メモリーに対応するようになります。 SCM の増分へは Extended Asynchronous Data Mover (EADM) サブチャンネルを使ってアクセスすることができます。 各増分はブロックデバイスで表されます。 この機能により、 データを保管する場合などのページング率や一時ストレージへのアクセスパフォーマンスが向上されます。
Open vSwitch カーネルモジュール
Red Hat Enterprise Linux 6.4 には Open vSwitch カーネルモジュールが Red Hat の各レイヤード製品の重要パーツとして同梱されています。 Open vSwitch は、 付随するユーザー領域ユーティリティーを同梱している製品と併用する場合のみのサポートになります。 必要となるユーザー領域のユーティリティがなくては Open vSwitch は機能しません。 また、 有効にすることもできません。 詳細については https://access.redhat.com/knowledge/articles/270223 にあるナレッジベースの記載を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux 6.4 に同梱されるカーネルにより「uncore」 Performance Monitoring Unit (PMU) のサポートが Intel Xeon Processor X55xx および Intel Xeon Processor X56xx ファミリーのプロセッサの perf イベントサブシステムに追加されます。 「uncore」は、 3次キャッシュなど複数のプロセッサコアで共有される物理的なプロセッサパッケージ内のサブシステムを参照します。 uncore PMU サポートの追加により、 パフォーマンスデータがパッケージレベルで簡単に収集できるようになります。
PMU イベントの解析についても有効になり、 perf 経由でのデバッグが可能になりました。
memcg メモリーのオーバーヘッドを低減
メモリーの再要求など、 メモリーコントロールグループでは独自の Least Recently Used (LRU) リストの管理が行なわれます。 このリストはゾーンごとのグローバルの LRU リストより上位にありました。 Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、 ゾーンごとのグローバル LRU リストを無効にし代わりにメモリーごとの cgroup リストで動作するようユーザーを変換することで memcg のメモリーのオーバーヘッドを低減しました。
メモリーの再要求と圧縮
Red Hat Enterprise Linux 6.4 に同梱されるカーネルでは、 高位の割り当て要求やメモリーに負荷がかかっている場合に再要求と圧縮を使用します。
Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、 netfilter の NFQUEUE ターゲットを使用する際に新しい fail-open モードに対応するようになります。 このモードを使用すると、一時的なパケット検査の無効化やネットワークトラフィックが混雑している場合の接続性の維持などをユーザーによって行なえるようになります。
IBM System z 向け kdump と kexec のカーネルダンプメカニズムに完全サポート
Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、 IBM System z スタンドアローンとハイパーバイザーのダンプメカニズムに加え、 kdump および kexec のカーネルダンプのメカニズムが IBM System z システムに対して完全対応機能として有効になります。 自動予約のしきい値が 4 GB にセットされるため、 4 GB 以上のメモリーを持つ IBM System z システムはすべて kdump および kexec のメカニズムが有効になります。
kdump の予約にはデフォルトで約 128 MB のメモリーを必要とするため、 十分な空きメモリーを確保しておく必要があります。 特に Red Hat Enterprise Linux 6.4 にアップグレードを行なう場合に重要となります。 システムクラッシュ時に備えダンプの格納用にも十分なディスク領域が必要になります。
テクノロジープレビューとして Red Hat Enterprise Linux 6.4 に同梱される linuxptp パッケージは Linux 向け IEEE 標準 1588 に沿った Precision Time Protocol (PTP) の実装になります。 堅牢な標準の実装を提供すること、 Linux カーネルが提供する最新かつ最適の Application Programming Interfaces (API) を使用すること、 この 2 点を目的として設計されています。 したがってレガシーな API およびその他のプラットフォームのサポートは目的としていません。
Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、 サポートされているダンプ対象、 サポートされていないダンプ対象、 不明なダンプ対象について詳しく記載された一覧が /usr/share/doc/kexec-tools-2.0.0/kexec-kdump-howto.txt ファイルの 「Dump Target support status」 のセクションでご覧いただけます。
zfcp デバイスドライバーが更新され、 System z Fibre Channel Protocol (FCP) のアダプターカードの拡張モードに対応できるようデータ構造とエラーの処理機能が追加されました。 このモードでは、 アダプターカード上のメモリーが時間のかかる大量の入出力要求でブロックされてしまった場合、 アダプターがデータを直接メモリーから SAN に渡せるようになります (データのルーティング)。
IBM Power Linux RAID SCSI ホストバスアダプターに対応する ipr ドライバーがバージョン 2.5.4 に更新されています。 これにより、 Power7 6Gb SAS アダプターに対応するようになるため、 このアダプターで SAS VRAID 機能を利用できるようになります。
Windows Active Directory (AD) ではユーザーおよびグループのエントリに POSIX スキーマ (RFC 2307 と 2307bis) をサポートしています。 多くの場合、 Active Directory は POSIX 属性などを含めユーザーおよびグループデータの認証ソースとして使用されます。 Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、 Directory Server の Windows 同期でこれらの属性が無視されなくなります。 このためユーザーは Active Directory と 389 Directory Server 間の Windows 同期で POSIX 属性を同期できるようになります。
注記
Directory Server に新規のユーザーやグループのエントリを追加してもその POSIX の属性は Active directory とは同期されません。 一方、 新規のユーザーやグループのエントリの追加を Active Directory に対して行なうと Directory Server との同期が行なわれるため、 属性の変更がいずれに対しても同期されるようになります。
一定期間使用されていないアカウントをロックする場合、 ロック機能のサポートを必要とする認証ポリシーがあります。 Red Hat Enterprise Linux 6.4 では pam_lastlog モジュールに追加機能を導入しました。 これにより、 設定可能な日数を超えた場合、 ユーザーによるアカウントのロックが行なえるようになります。
libica 動作の新しいモード
IBM System z の IBM eServer Cryptographic Accelerator (ICA) ハードウェアにアクセスするための機能とユーティリティ一式を含む libica ライブラリが修正されて Central Processor Assist for Cryptographic Function (CPACF) での Message Security Assist Extension 4 の命令をサポートする新しいアルゴリズムが使用できるようになりました。 DES および 3DES ブロック暗号の場合、 次のような動作モードがサポートされるようになります。
暗号文窃盗による暗号ブロックチェーン (CBC-CS)
暗号ベースのメッセージ認証コード (CMAC)
AES ブロック暗号の場合、 次の動作モードがサポートされるようになります。
暗号文窃盗による暗号ブロックチェーン (CBC-CS)
暗号ブロックチェーンメッセージ認証コードを用いたカウンター (CCM)
ガロア/カウンターモード (GCM)
こうした複雑な暗号アルゴリズムの促進により IBM System z マシンのパフォーマンスが大幅に向上されています。
System z 向け zlib 圧縮ライブラリの最適化およびサポート
多目的型無損失データ圧縮ライブラリとなる zlib ライブラリが更新され IBM System z での圧縮パフォーマンスが向上されました。
virtio-scsi は Red Hat Enterprise Linux 6.3 ではテクノロジープレビューとして採用されていましたが、 Red Hat Enterprise Linux 6.4 では完全にサポートされるようになります。 Windows のゲスト (Windows XP を除く) も最新の virtio-win ドライバーでサポートされます。
Intel 製次世代コアプロセッサに対応
Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、qemu-kvm で Intel 製次世代コアプロセッサに対応するようになるため、 このプロセッサで提供される新しい機能を KVM ゲストで利用できるようになります。 もっとも重要となる機能は、 Advanced Vector Extensions 2 (AVX2)、 Bit-Manipulation Instructions 1 (BMI1)、 Bit-Manipulation Instructions 2 (BMI2)、 Hardware Lock Elision (HLE)、 Restricted Transactional Memory (RTM)、 Process-Context Identifier (PCID)、 Invalidate Process-Context Identifier (INVPCID)、 Fused Multiply-Add (FMA)、 Big-Endian Move instruction (MOVBE)、 F Segment and G Segment BASE instruction (FSGSBASE)、 Supervisor Mode Execution Prevention (SMEP)、 Enhanced REP MOVSB/STOSB (ERMS) になります。
Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、 設定済みデバイスに対する既存の USB デバイスのリダイレクトは維持しながら、 SPICE による USB 転送を使ったゲストのライブ移行に KVM が対応できるようになります。
USB デバイスを使ったゲストのライブ移行
Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、USB デバイスを使ったゲストのライブ移行が KVM で対応できるようになります。 対応しているデバイスは以下の通りです。 拡張ホストコントローラーインターフェース (EHCI) およびユニバーサルホストコントローラーインターフェース (UHCI) のローカルに通過し模倣されるデバイス、 たとえば、 ストレージデバイス、 マウス、 キーボード、 ハブなど。
QEMU ゲストエージェントの更新
QEMU ゲストエージェント (qemu-guest-agent パッケージで提供) が Red Hat Enterprise Linux 6.4 から完全対応になります。 アップストリームのバージョン 1.1 に更新され次のような優れた機能強化、 バグ修正が同梱されます。
Windows システムで RAM やディスクに対して一時停止を行なう場合に guest-suspend-disk と guest-suspend-ram のコマンドを使用できるようになります。
Linux でネットワークインターフェースの情報を取得する場合に guest-network-get-interfaces コマンドが使用できるようになります。
この更新ではファイルシステムのフリーズに関するサポートの改善および修正が提供されます。
この更新にはドキュメントに関する修正および改善が含まれます。
準仮想化割り込み終点 (End-of-Interrupt) の指示 (PV-EOI)
Red Hat Enterprise Linux 6.3 およびそれ以前のバージョンを稼働しているホストやゲストの場合、 各割り込みに対して仮想マシンの出口が 2 つ必要になります (仮想マシンからハイパーバイザーへのコンテキストスイッチ)。 ひとつは割り込みをインジェクトするため、 もう一つは割り込みの終点を合図するためです。 ホストとゲストの両方のシステムを Red Hat Enterprise Linux 6.4 またはそれ以降のバージョンに更新すると準仮想化の end-of-interrupt 機能のネゴシエートが可能になるため、 各割り込みに対して必要となるスイッチが一つのみになります。 結果、 Red Hat Enterprise Linux 6.4 またはそれ以降のバージョンをホストとゲストの両方に使用することで、 virtio ネットワークデバイスを使った着信ネットワークトラフィックなど割り込みに負担が多くなる負荷に対する出口の数が半分に低減されます。 これにより割り込みに負担が多くなる負荷の CPU 使用率がかなり減少することになります。 ただし、 改善されるのはエッジ割り込みに限られる点に注意してください。 たとえば、 e1000 ネットワーキングではレベル割り込みが使用されるためこの様な改善は見られません。
Microsoft Hyper-V 上の Red Hat Enterprise Linux 6.4 での Hyper-V の準仮想化デバイス対応、 また Red Hat Enterprise Linux ゲストインストールの統合などにより、 ユーザーは Red Hat Enterprise Linux6.4 を Microsoft Hyper-V ハイパーバイザーの上でゲストとして稼働させることができるようになります。 次のような Hyper-V ドライバーおよびクロックソースが Red Hat Enterprise Linux 6.4 に同梱されるカーネルに追加されています。
また、 Red Hat Enterprise Linux 6.4 ではクロックソースとしての Hyper-V およびゲストの Hyper-V Key-Value Pair (KVP) デーモンにも対応しています (hypervkvpd)。 これによりゲストの IP、 FQDN、 OS 名、 OS リリース番号などの基本的な情報が VMbus 経由でホストに渡されます。
8.3. VMware ESX
VMware PV ドライバー
VMware の準仮想化ドライバーが更新され、 VMware ESX で Red Hat Enterprise Linux 6.4 を稼働させる作業がシームレスになりました。anaconda インストーラーも更新されインストール中にドライバーの一覧を表示するようになります。 以下のドライバーが更新されています。
ネットワークドライバー (vmxnet3)
ストレージドライバー (vmw_pvscsi)
メモリーバルーンドライバー (vmware_balloon)
マウスドライバー (vmmouse_drv)
ビデオドライバー (vmware_drv)
第9章 クラスタリング
IBM iPDU フェンスデバイスに対応
Red Hat Enterprise Linux 6.4 では IBM iPDU フェンスデバイスに対応するようになります。 このフェンスデバイスのパラメータについては、 Red Hat Enterprise Linux 6 Cluster Administration (クラスター管理) ガイドの付録 Fence Device Parameters (フェンスデバイスのパラメータ) を参照してください。
Eaton ネットワークパワーコントローラーのフェンスデバイスに対応
Red Hat Enterprise Linux 6.4 では、 Eaton 製 SNMP 経由ネットワーク電源スイッチ用のフェンスエージェントとなる fence_eaton_snmp に対応するようになります。 このフェンスエージェントのパラメータについては、 Red Hat Enterprise Linux 6 Cluster Administration (クラスター管理) ガイドの付録 Fence Device Parameters (フェンスデバイスのパラメータ) を参照してください。
新しい keepalived パッケージ
Red Hat Enterprise Linux 6.4 にはテクノロジープレビューとして keepalived パッケージが同梱されます。 keepalived パッケージにより負荷分散および高可用性を実現するシンプルで堅牢な機能が提供されます。 負荷分散のフレームワークには利用度、 認知度が共に高い Linux Virtual Server カーネルモジュールを使用して第 4 層ネットワーク負荷分散を提供します。 keepalived デーモンにより負荷分散を行なっているサーバーの状態に応じてそのサーバーのプールの健全性をチェックする機能セットが実装されます。 また、 仮想ルーター冗長プロトコル (VRRP) の実装も keepalived デーモンにより行なわれ、 ルーターやダイレクターのフェールオーバーを許可して高可用性を図ります。
Watchdog のリカバリ
Red Hat Enterprise Linux 6.4 にテクノロジープレビューとして同梱される fence_sanlock と checkquorum.wdmd の新しいフェンスエージェントにより、 watchdog デバイスを使ってノードのリカバリを起動させる新しいメカニズムが提供されます。 このテクノロジープレビューを有効にする方法を説明しているチュートリアルについては https://fedorahosted.org/cluster/wiki/HomePage をご覧ください。
VMDK ベースのストレージに対応
Red Hat Enterprise Linux 6.4 ではマルチライターオプションを備えた VMware の VMDK (仮想マシンディスク) ディスクイメージテクノロジーを使用しているクラスターにも対応するようになります。 これにより、 マルチライターオプションを備えた VMDK ベースのストレージを GFS2 などのクラスタ化したファイルシステムに使用できるようになります。
第10章 ストレージ
並列 NFS に完全対応
並列 NFS (pNFS) は NFS v4.1 標準の一部であり、 これにより複数のクライアントが複数のデバイスに直接そして同時にアクセスできるようになります。 pNFS アーキテクチャにより、 よく行なわれる一般的な作業において NFS サーバーのスケーラビリティとパフォーマンスを向上させることができます。 Red Hat Enterprise Linux 6.4 から pNFS は完全対応になります。
pNFS では、 ファイル、 オブジェクト、 ブロックの 3 種類の異なるストレージプロトコルまたはレイアウトに対応しています。 Red Hat Enterprise Linux 6.4 の NFS クライアントはファイルレイアウトプロトコルに対応します。
利用可能な CPU に関する詳細情報を表示する lscpu ユーティリティが更新され多くの新機能が搭載されています。 また、 新しいユーティリティとなる chcpu も加わり、 CPU 状態の変更 (オンラインとオフライン、 スタンバイとアクティブ、その他)、 CPU の無効化と有効化、 指定した CPU の設定などを行なえるようになります。
これらのユーティリティについては lscpu(1) と chcpu(8) の man ページを参照してください。
第12章 更新全般
samba パッケージの更新
Red Hat Enterprise Linux 6.4 にはリベースされた samba パッケージが同梱され、 複数のバグ修正と機能強化が行なわれています。 もっとも重要な更新として、 SMB2 プロトコルに対応するようになります。 SMB2 サポートは /etc/samba/smb.conf ファイルの [global] セクションにある以下のパラメータを使って有効にします。
max protocol = SMB2
また、 Samba では AES ケルベロス暗号化にも対応するようになります。 AES サポートは Windows Vista および Windows Server 2008 以降の Microsoft Windows オペレーティングシステムで利用可能になっています。 Windows 7からは、 AES タイプがケルベロス暗号化の新しいデフォルトになることが報告されています。 Samba ではキーを管理するキータブに AES ケルベロスキーが追加されます。 つまり、 samba キータブを使用し同じマシンで実行するケルベロス化された他のサービスでも AES 暗号化の利点が役に立つということです。 AES セッションキーを使用するには (AES 暗号化されたチケット交付チケットを使用するだけでなく)、 Active Directory の LDAP サーバーの samba マシンのアカウントを手作業で修正する必要があります。 詳細については Microsoft Open Specifications Support Team Blog を参照してください。
警告
更新された samba パッケージでは ID マッピングの設定方法も変更になります。 ユーザーの方は既存の samba 設定ファイルの修正をお勧めします。
valgrind パッケージがアップストリームバージョンの 3.8.1 に更新されました。 この更新バージョンには機能拡張やバグ修正の他、 組み込みの gdbserver が含まれます。 詳細については、 「Red Hat Developer Toolset 1.1 User Guide (Red Hat 開発者向けツールセット 1.1 ユーザーガイド)」の「Valgrind の章」および付録となる「Changes in Valgrind 3.8.1 (Valgrind 3.8.1 での変更点)」を参照してください。
新しい libjpeg-turbo パッケージ
Red Hat Enterprise Linux 6.4 には新しいパッケージセットが同梱されます。 従来からの libjpeg パッケージはこの新しいパッケージセットの libjpeg-turbo に置き換えられます。 同じ機能、 同じ API を提供しますがパフォーマンスが向上しています。
新しい redhat-lsb-core パッケージ
redhat-lsb パッケージをインストールすると、 LSB 標準の要件を満たすためかなりの数の依存パッケージがシステムに導入されます。 Red Hat Enterprise Linux 6.4 では新しいサブパッケージの redhat-lsb-core を提供し、 このパッケージをインストールすることで redhat-lsb パッケージに最小限必要な依存パッケージのみを簡単に取り込むことができるようにしています。